美大受験でのピンチを助けてくれたあの試験監督
高校3年生の夏、私は美大受験を決意し、だいぶ遅いスタートを切りました。
美大受験のために予備校へ通うことになりましたが、塾講師、母親、私の3人の面談では、「お母さん、今から絵の勉強を始めるということは、浪人覚悟をして下さいね。」とはっきり言われたのを今でもよく覚えています。
それでもいいから、私は何か違う知らない世界を求めていました。
下手くそなのは分かっています。
それでもきちんと基礎を習って、自分の絵を描きたいと思っていました。
塾は夏期講習から参加し、毎日6時間は石膏デッサンや自画像、油絵を描いていました。
当時の私は自分の知らない世界に足を踏み入れた感覚で、何をするのも新鮮で楽しかったのです。
そして3つの美術大学を受験しました。
3つのうちの1つの受験で、とてもピンチなことがありました。
試験のお題は、自画像デッサンでした。
私は予想していた石膏デッサンでなかったことにびっくりしながら、順調にデッサンを進めていきました。
すると、肩をそっと叩かれました。なんだろう?試験中なのにと思いその人を見ると、試験監督の方でした。
その人はジェスチャーで、紙が縦横間違ってることを教えてくれました。
お題をよく見ると、「紙は縦書にして」と注意書きがありました。
縦長にして描いてと言う意味でした。
私は横書きにしてノリノリに描きはじめていました。
その時は焦って焦ってもうダメだ~と思いました。
結局受かったのは、その時の学校のみでした。
ピンチを助けてくれたあの時の試験監督には今でも感謝しています。