幸福とは日々の行動により向こうからやってくる

落とし物

それは暑い夏の日でした。

私は大学の授業を終えて、その日の夕食の食材を近くのスーパーで購入して帰宅するところでした。

その途中、道路と溝の脇になんとも奇妙な形ですっぽりと嵌まっている紙袋を見つけました。

「なぜそんな場所に紙袋が?」とも思いましたが、なんとなく気になって中身を確認することにしました。

すると中には入っていたのはなんと現金の束、およそ300万円と印鑑に如何にも重要そうな書類が数枚。

当時は大学生ということでそのような金額は見たことも無く、私は怖くなり見なかったことにして帰ろうとも思いました。

しかしこのまま放置して、落とした人は今頃どうしているのか考えると居てもたってもいられず、そのまま交番に届け出ました。

額が額なのか、交番ではかなり時間を取られ、やっぱり放置しとけば良かったと思った頃に解放されその日はそのまま帰宅。

そしてその出来事を忘れかけた三ヶ月ほど経った日のこと交番から一本の電話が。

なんだろうと思い赴くとそこにはあの紙袋の落とし主である社会人の男性が居たのです。

そして私は謝礼として20万もの金額を頂いてしまったのです。

あの一つの当たり前の行動が、こうした幸運へと繋がるのだなと当時を振り返ってしみじみと思いました。

幸福は日々の行動により向こうからやってくる、私は今でもこの思いを胸に日々を送っています。