初めて自転車に乗れた日に味わった恐怖
小学校時代の話です。
なかなか自転車の補助輪が外せなかった私は、両親から「とろい」「運動神経が悪い」と言われていました。
周囲の友達も補助輪なしで自転車を乗れるようになり、だんだん焦りを感じはじめて一念発起、補助輪外しにチャレンジしました。
私が住んでいた所は田んぼがたくさんある田舎の集落で、車通りが少ない農道は練習に最適の場所です。
補助輪を外して、まずは後ろから母親に支えてもらいながら練習を開始して、転びながら、半べそかきながら、ひたすらペダルをこぎました。
いよいよ訪れたその瞬間!ヨロヨロしながらも、農道を自転車で走りることができたのです。
風をきって走る爽快感。あまりにも嬉しくて、後方にいる母親を振り返り大きな声で「乗れたよ~見て見て~」と叫びながら、大興奮でペダルに力をこめました。
母親は手を大きく振って何か叫んでいます。
「え~?何?」母親を見ながら私がそう聞いた瞬間、私の体がふわっと浮きました。時すでに遅く私は自転車ごと田植えが終わったばかりの水田にダイブしました。
あまりのハイテンションに前を見ていなかったのです。
ドロドロの水田に体も自転車もずぶずぶ埋まっていき、子どもながらにこれは底なし沼か?とどうしようもない恐怖を感じました。
なんとか、水田から助けられた自転車と私。
泥だらけの体にホースで水をかけられながら、母親にすごく叱られたことを今でも鮮明に覚えています。