バス移動は命がけで、初めての料理は慎重に
私は大学生の頃よくバス移動をしていたのですが、その際に社会的な命の危機に直面しました。
私の通っていた大学は車通学が認められておらず、学生のほとんどがバスを利用していました。
また、そのバスの利用者のほとんどが同じ大学に通う学生ばかりで、始発以降の場所から乗車すると一切座ることができませんでした。
それどころか、立っているのもやっとという超満員状態で少しでも気を抜くと窒息死するのではないかというような状態でした。
そんな中私に大きな危機が訪れたのです。
いつもは始発駅から乗車をしていた私なのですが、その日は予定があり、別の駅で乗車をしました。
案の定超満員で普段椅子に座っている私にとって経験したことのない圧に気が滅入っていました。
その時です。私のお腹に激痛が走ったのです。
一瞬で思考をフルスロットルに回したところ原因がわかりました。
「昨日のローストビーフだ」 実は前日に人生で初めて料理を作ったのですが、それがローストビーフでした。
我ながらなぜ初めての料理をローストビーフにしたのかはなはだ疑問なのですが、そのローストビーフがほとんど生だったのです。
食べてるときは「ローストビーフはやっぱ半生だよな」と気にせず大量に食べていたのですが、よりにもよってこのタイミングで私の腹を襲ってきたのです。
すぐにバスから飛び降りてどこかコンビニのトイレに行こうと思ったのですが、私の大学は山の上にあり、もうすでにバスは山道を走っており、周りを見渡してもコンビニはおろか家一軒もないという惨状でした。
私の精神力も限界ギリギリに陥っており、何度も私の中の天使と悪魔が喧嘩をしていたのを覚えています。
「もう我慢するな、全部漏らしちまえよ」と悪魔がささやけば「ダメよ、あと少し我慢したら大学でできるから」と天使がささやくという普段の人間が妄想でするようなことが現実に私の心の中で起きていたのです。
それからほどなくして大学に到着したのですがそこで再び私に悲劇が襲ってきました。
そうです。
このバスは超満員なのです。
ついたからといってすぐに下りられるわけではありません。
一人ずつ定期や現金などで支払いをしてからでないと降りられず、私はその列を待っている間何度もお腹を解放しようと思いましたがギリギリの精神力で持ちこたえました。
そして自分の順番が来たとき、「ピピッお使いの定期券は乗車受付されておりません。」私は自分を恨みました。
その日に限って始発駅でない駅を利用したことで定期券を最初にかざすのを忘れていたのです。
しかし私にはこの難関を乗り越えるほどの思考力はなく、財布にあった千円札で支払いをし、お釣りを取らずにトイレまで全力で駆け抜けていきました。
きっと周りの人は私のことを変な人だと思ったでしょう。
しかし、それ以上に漏らすことで社会的に死んでしまうよりも幾分もマシだと私は判断しました。
幸いギリギリトイレに間に合い事なきを得ましたが、その日から常に下痢止め常備です。