ウズベキスタンで車が故障し立ち往生

荒涼な大地

私にとって人生で最も幸せだと感じた出来事は、ウズベキスタンを旅していた時に起こりました。

ウズベキスタンとは中央アジアの国の一つで、かつてはソ連の一部だったがゆえにロシア文化の影響も濃いですが、今では市場経済への移行が進むなど日本人にとってもだいぶ親しみやすい環境となっています。

また、実際に現地に行ってみると典型的なイスラム国家の一つという印象を受けるでしょう。

整った形のモスク、ダイナミックに広がる砂色の街、カラっとはしているが非常に暑い夏など、日本とは全く異なる風景がそこにはあります。

また、そのような環境にも関わらず食糧は豊富にとれるらしく料理もとても美味しいものが多いです。

特にプロフという米料理は日本人の口にも合うのでおすすめですね。

ただし郊外に行くときは車の調子にご注意を。

なぜなら私のように郊外で車が故障し、立ち往生してしまったならもう本当にどうしようもないからです。

日本ではこうなったらスマホやネットで助けを呼ぶことができますが、当時のウズベキスタンではそうはいきませんでした。

おそらく今もあまり状況は変わっていないでしょう。

おまけに周りには見渡す限り荒涼な風景が広がり、建物が何一つとして見えないという状態も私の絶望感を大きく膨らませました。

歩いてどこかの街に行くには遠すぎるし、車通りも絶望的に少ない……その時できたことは、ただただ神に祈ることだけでした。

しかし、私は幸運でした。

なんと数時間もしないうちに警察が通りかかり、私は無事保護されたのです。

私は年甲斐もなく大泣きしました。

死ぬしかないという状況から助けられることが、こんなにも幸せなことだなんて知りませんでした。

なお、警察官によればここを通ったのは全くの偶然だったとのこと。

もしこの偶然がなければ、私は今頃荒野で干からびていたかもしれません。

それからというものの、私は広い荒野や砂漠を旅する時には必ず遭難を想定した準備をするようになりました。

幸運にも同じようなことは今のところ起こってはいませんが、備えは本当に大切だと思い知らされた一件でした。