父からの助言で助かったあの日

車の運転

私は運転が大の苦手です。

大学2年生の夏に免許を取得しましたが、駅は徒歩圏内でアルバイト学校も電車を利用していたため、運転をする機会がありませんでした。

ところが、就職先で運転をすることになってしまったのです。

確かに運転免許が必須の職場でしたが、事務部門で運転することはめったにないと聞いていたので油断していました。

目的地は会社から20分程で週に1回程度、いつも同じ場所ですが、私からしたら大冒険です。

まだ研修期間もあったため、その日に備えて父と猛特訓の日々。

再び自動車学校で貰った教科書を読むことになるとは思ってもみませんでした。

父と言う名の鬼教官に叱られながらも、なんとか会社から目的地までは行けるようになりました。

特訓のおかげで、毎週同じ道を行ったり来たりは難なくこなせるようになりました。

しかし、あの日心臓が止まるようなピンチに襲われたのです。

その日は、午前中に職場で気になっている先輩からデートのお誘いを受けました。

頭の中がお花畑状態で、車に乗り込んだ私はルンルンでいつもの目的地へ。

仕事を済ませると会社へ戻る帰り道、西野カナを口ずさみながら青信号をまっすぐ走りました。

「あれ?まっすぐ・・・?」そうです、道を間違えていつもは左折する道を直進してしまったのです。

初めての道、2車線で中央分離帯もあるその道はまっすぐ進むと高速への入り口があります。

このまま進むと一体どこへ行くのか見当もつきません。

完全にパニックです。

その時、以前父との練習中に聞いた言葉が突然よみがえってきました。

「道を間違えたらとにかく右折か左折が出来るところを探せ。」 私は鳴りやまない心臓の音とともに、曲がれるところを必死に探しました。

すると、前の車が右にウインカーを出したのです。

私は何食わぬ顔でその車の後ろに付き、右折をすると脇道へそれました。

脇道を走り、左折をすると見慣れた光景が広がりました。

泣きそうにりながら左折をし、元の道に戻れました。

時間にするとほんの数分のことでしたが、生きた心地がしませんでした。

本当に事故が無く帰れて良かったです。

その日以来、どんなに嬉しいことや悲しいことがあっても、平常心で歌を歌うなんてもってのほかな精神で運転をしています。