配達先の2歳の女の子と打ち解けるまでの軌跡
僕は以前、料理人で寿司屋で働いており時間がある時など配達に行っていました。
そんなある日、月に1〜2回注文をしてくれるお得意様から出前が入り、自分で作って持って行った時の話です。
寿司屋から15分ほど離れた住宅街にある一軒家。
家の前には小さな門が有り、手で鍵を開けて入れます(意味ない様な…)。
玄関に着くとインターホンを鳴らすと、「はーい」と奥さんの声が聞こえます。
「ガチャリ」と玄関の鍵が開くと中には奥さんと奥さんに抱っこされた2歳の娘さんの「ななちゃん」が居ました。
また、この子が可愛いんですよ!僕は動物と子供が大好きでいつも遊びたい派です! でも、この子と会うのは3〜4回目なのですが、奥さんの胸に顔を埋めてこちらを向いてくれません。
毎回奥さんと一緒の時は見てくれないんですよ。
「あー、また今日も見てくれんのかな?ニャー😊」とか言いますが、「イヤ!」と言って全然ダメ…。
寿司の代金もらう時も抱っこから離れようとせず、奥さんも払いにくそう…。
「コッチおいで!」と両手を差し出すも、「イヤ!」……。
なんてこったい…。
奥さんも眉を下げて笑う始末。
少しガックリしながら出前車に乗り込んでそのまま帰りました。
お店に戻ると先程配達した奥さんから電話があって連絡して欲しいとの事。
なんか間違えたかな? プルルル。
「あ、すいません、〇〇寿司ですけど、お釣りかなんか間違ってましたか?」と聞くと奥さんが「ごめんなさい!娘がどうしても電話してと泣き喚いて…」 「え?娘さんがですか?」と聞き直すと、「そうなんです、どうしても言いたい事が有ると…、はい、配達のお兄ちゃんよ」と娘さんに受話器を渡したみたいだ。
ななちゃん「………」なんも言わんし。
奥さん「ほら、ななちゃん言いたい事が有るんでしょ?お兄ちゃんも忙しいから早く良いなさいよ」と優しく促す。
ななちゃん「…あのね…ヒック…あのね…」とまだ、嗚咽が残ってるみたいだ。
俺「なーに、ななちゃん!ゆっくり言っていいよ。何かなー?」とななちゃんに聞くと、 ななちゃん「あのね、さっきね、イヤって言ってごめんなさい…あ〜〜。」とまた泣いてしまった。
俺「良いよー!今度お家に行った時は顔見せてね!」と言うと、 ななちゃん「ヒック、…うん!抱っこもしてね!」と言うと奥さんに電話が変わり、 奥さん「ごめんなさいね、こんな事で電話しちゃって…。」と言われたので 俺「良いですよ!ななちゃんが嬉しくなったらそれで良いんですから!」と言うと奥さんはありがとうございます、と言って電話を切った。
後日、ななちゃんのウチから配達の電話が有ると、「僕が持っていきまーす!」と言って配達員の仕事を取ってななちゃん宅へ。
途中、小さなチョコレートをポッケに忍ばせて 小さな門を抜けて玄関のベルを鳴らす。
ピンポーン♪ ダダダダッと小さな子が玄関に走ってくる音が聞こえた。
ガチャリと玄関が開くとそこには奥さんの脚の後ろから覗くななちゃんが見えた! 俺「ななちゃん、こんばんわ〜!」と言うと、ななちゃんは「…こんばんわ、、」と恥ずかしそうに言いながらチラッと見ていた。
寿司の代金を奥さんから受け取ると、俺は先程買った小さなチョコレートを出し、「ななちゃん、この前は頑張って電話してくれてありがとう〜!お兄ちゃん嬉しかったよ!」と言うと、「うん!」と大きな声で返事してチョコレートを受け取ってくれた!そして抱っこは次で良いかなと何も言わないで帰ろうとすると、奥さんが「あら、ななちゃん。抱っこはやってもらわないで良いのかな?」と笑顔で言うと、ななちゃん恥ずかしそうにモジモジしながら、「うん!」と言って両手を僕の方へ伸ばしてくれた!僕は嬉しくて抱き上げると少し急すぎてビックリしたのか、ななちゃんの顔が少し強張った…。
「ヤバいな!」と思った俺は「ワオ〜〜❗️」とその場をゆっくりと回って奥さんにななちゃんを渡すと、奥さんが「ありがとうね!」と言ったので、俺「僕は子供さんと動物大好きですから!」と言って、ななちゃんにバイバイしてもらいとても嬉しかったです!