海は優しく厳しい、私の不思議なお友達

優しく厳しい海

私にとって、「海は、不思議な生き物」です。

幼い頃、父の静養のため母の実家へ半年程住んでいた頃のお話しです。

山と海が望める祖父母の家は、海を見下ろせる場所にあり、坂を少し下れば、海がありました。

私は、堤防にチョコンと座っては海に話しかける少し変わった女の子でした。

海は、色んな顔を見せてくれます。

時に優しく、時に怖くも感じていた頃の夏のある日。

お姉ちゃん達と海水浴を楽しんでいた時に、浮き輪で浅瀬でバシャついている時に、「海さん、私と遊んで」と話しかけた瞬間に、大波が私を飲み込んで、一瞬にして沖の方まで連れていかれました。

一瞬でしたが、海底を漂って息もできないのに、なぜか怖いと言う感情はありませんでした。

優しい、楽しい、海の一部になった様な不思議な感覚になりました。

気が付いた時は浪打際に、波が運んでくれたという感じでした。

周りの大人は、沖のブイまで流されていたので、大騒ぎになっていたと後からきかされましたが、私は「海が、優しく遊んでくれたんだなぁ」と優しくも、厳しく海のことを教えてくれたのだと信じています。