親切な、あのお年寄りは一体誰だったのか

花見の場所取り

新入社員の頃、言わずと知れた最初の大仕事が、職場の花見の場所取りでした。

早朝にレジャーシートとガムテープ、段ボールを必死になって抱えながら、桜の名所と地元では言われる場所にはせ参じました。

桜は見頃でしたが、早朝はまだかなり寒く、ガタガタ震えながら場所取りをしました。

見栄えのしないような場所では、後で先輩社員からどやされるかもしれないので、あっちこっちウロウロしていました。

他にも似たような場所取りを命ぜられたと思われる人を見つけると、負けちゃいられないと妙なライバル意識がありました。

その最中、地元のお年寄りと思しきおじいさんが寄ってきて、見ず知らずのウロウロしている若者に、親切にも、「いい場所があるから教えてあげるよ」と連れて行ってくれたのでした。

そこは、まさに、ベストポジションで、周りは見晴らしがよく、無理に顔を上げなくとも、どこを見ても桜が目に入る場所でした。

丁寧にお礼を言って、早速、段ボールを敷き詰めたり、レジャーシートをガムテープで固定していると、いつのまにか、その老人はいなくなってしまいました。

それにしても、親切な人がいるものだと感謝しました。

その後、お弁当や飲み物を抱えた職場の皆さんがやってきて、大盛り上がり、良い場所を良く取れたな、と口々に褒めてもらい、何とか、新人としての最初の仕事は及第点をもらえたのでした。