見たこともない夏の海の色を背景に、最後の写真
今は亡き主人と最後に行った、夏の海の思い出です。
我が家は毎年夏休みになると、子供を連れて家族キャンプをしていました。
子供が小学4年生の夏。
一度だけ行った新島の海が忘れられないと言う主人。
もう一度行ってみることになりました。
数年ぶりの新島の海は相変わらず美しく、トビウオが次々に船を追ってきました。
砂は白く輝き、眩しくて目がくらみました。
キャンプ場から見える、海から昇る満月も黄金で、何も変わっていませんでした。
キャンプ2日目、とあるビーチに初めて行きました。
細い海へと続く道、そこを抜けるとぱあっと大海原が広がっていました。
その海の色は、よくあるブルーではありませんでした。
水浅黄色に翡翠の様な緑と、乳白色、青磁色などが混ざる何とも形容しがたい海の色だったのです。
思わず家族3人、長い時間立ち尽くしました。
海の美しさに圧倒され、動けませんでした。
その時に私が撮った、主人と娘が手をつないで立っている後ろ姿の写真が、二人が一緒に映った最後の写真となりました。
夏の海は私にとって、美しさと儚さを感じるもので、そこに亡き主人の生きていた証をみるのです。