夏の海よ俺の1,000円返してくれ

夏の海

私は20代全般、ディスコでバイトをしておりました。

あの頃は、楽しかった。

お金もそこそこあって、時間もあった。

女の子は、店で調達をする。

そんな時代でした。

夏といえば、店は3時(深夜)に終わり、後片付けをして、4時になります。

調達した女の子たちを乗せて、海に向かうのです。

1時間ほどすると、海に付きます。

もう明るくなっていて、何よりもほぼ誰もいない海は、水がきれいです。

泳いでいる魚が見える位です。

水はまだちょっと冷たいので、足を入れる程度で、すぐにサマーチェアーに座り、朝食を取ります。

それから寝ます。

周りがザワザワとし始めたころ、起きます。

おもむろに海に入り、顔を洗うのです。

メンバーも女の子たちも、同じように海に入り、それぞれに楽しむのです。

昼食は、海の家で取ります。

あの頃は、ラーメンとか焼きそばとか、そして、味噌おでんは欠かせないものです。

1,000円を、海パンのポケットに入れて、その店に向かいます。

その日は、メンバーがまだ海で遊んでいて、お前も来いよ・・と、呼ばれてしまいました。

女の子もいるし、若いのも手伝って、当然おだってしまいます。

その頃流行っていたのが、来る波を、大の字に立って、倒れないようにするのです。

倒されたら負けで、波が通り過ぎた後、立っていれば成功です。

みんなで順番にやると、盛り上がります。

そんなことを一通りやって、店に来ました。

海パンのポケットを探ると・・入れたはずの1,000円札がありません。

ポケットをひっくり返しても、見当たりません。

そうです。

夏の海に、1,000円札を取られてしまいました。

夏の海よ、俺の1,000円、返してくれ~です。

もう40年以上も経つのに、海を見ると、あの頃を思い出します。