高校時代のブラック部則、そして先生よりも強い権力を持つ先輩たち

先輩に尋問される

とある市立の女子高校に通っていた時の事です。

私は当時少々珍しかった女子サッカー部に入部していました。

ここは進学校ではなく専門校なこともあり、色々な部活にも力を注いでいました。

ある日、同じ学年のムードメーカでもある一人が退部をする、と知らせが来ました。

先輩たちはそれを聞き、「退部する納得のいく理由を部員皆に説明する必要がある。」とのことで、空き教室にその子を一人前に立たせ、退部する理由を説明させました。

そして、納得ができないと、一つ一つ細かく追求…というよりは、尋問が続きました。

その子の家は母子家庭で、この学校にはスポーツ推薦で入学していました。

確かに、その推薦で入学したのなら、最後まで続けるのが筋だと思います。

しかし、人生何が起きるかわからない、その子は試合や練習の積み重ねでヘルニアにもなっていました。

また尋問が続き、その子のお兄さんが事故を起こしてしまって、生活もギリギリとのことでした。

部活ではなく、学校にきちんと許可も取り、生活のためにアルバイトを始めるとのこと。

そこまで私たち一部員に、一家庭のそんな込み入った情報を伝えなければいけなかったでしょうか? ただでさえスポーツはお金がかかります。

そんな状況で部活を続けられるでしょうか? 続けられたとしても、その子の後ろには一家族を犠牲にして楽しい生活が送れるでしょうか? 尋問はその日の全部活の時間を要しました。

尋問を続けた先輩は、幼稚園からクラブチームでサッカーをし、両親仲良く裕福な家庭の方ばかりでした。

その子は退部した後も先輩方から鋭い視線を向けられるので、移動教室や休み時間も教室から出られなくなり、結果的に部活だけでなく、学校自体も自主退学することになりました。

当時、私も先輩達の恐怖が勝ってしまい、助けることもできず、ただ泣きながらその子の家庭事情を聞いていました。

その先輩達は何年か前に見たSNSで、幸せに結婚していました。

人を一人潰しているのに、どうして幸せになっているのでしょうか? そして、当時先輩達に何も言えなかった自分も未だに許せないです。

その子は退学以降連絡を取れていないですが、せめてその子は幸せな時間を過ごしていたら幸いです。