レストランで写真を撮ってくれたおじちゃんとの不思議な縁

七五三

アルバムの中の1枚の写真の話です。

七五三で着物を着て髪を結った六歳の私が写っています。

七五三で神社へお参りに行った日、母と2人で家の近くのレストランに行きました。

父がいない苦しい生活の中でも母がどうにか着物を準備して着せてくれて、私はとても嬉しかったのを覚えています。

その着物姿のままレストランに行きました。

すると、知らないおじちゃんから声をかけられました。

「とても綺麗な着物ですね。自分にも同じ年頃の子供がいるので、お祝いに写真を撮らせてください」と。

そして、2回ほどシャッターをきって母に名刺を渡して何かやりとりをしていました。

後日、写真が送られて来たのですが、私は気にも留めていませんでした。

それから10年後、高校生になった私に彼氏が出来ました。

顔は好みではなかったけれど、不思議と私のことをよくわかってくれる気の合う人でした。

デートとかに出かけたことはなかったけれど、一緒に帰ったりしてたくさんたくさん話をしました。

そして、なんと、七五三の日にレストランで写真を撮ってくれたおじちゃんは彼のお父さんだったことがわかりました。

すごい偶然だと思いました。

母は、私が彼と付き合っていることを知って、結婚するかも…と思ったそうです。

残念ながら1年ももたずに別れてしまい、結婚はしませんでしたが、高校卒業後も友達としての交流はあります。

ただ、いまだに七五三の写真のことは彼に話せていません。