我慢に我慢を重ねると最終的には仮死状態になる話

トイレの危機

20代前半の頃、私はツアーコンダクターの仕事をしていました。

旅行好きの私にとっては天職だと思っていましたが、一つだけ不安を持っていたことがあります。

それは昔からお腹が弱かったことで、特に朝食後は要注意でした。

昔からの付き合いなので当時は朝ご飯は食べないようにしていたくらいで、かなり神経質になっていました。

さてある日の添乗のこと、朝関東地方にあるホテルを出発すると、それから常磐道を延々と北上して東北を目指すというツアー行程の日でした。

ホテルを出発すると最低90分はトイレ休憩がないので、この日も朝食を食べずにバスに乗り込み、その日の仕事が始まりました。

するとまだ出発して数分しかたっていないのにお腹が鳴り、お腹が痛くなってきました。

これはまずいと思ってなるべくお腹を暖めて動かさないようにしていましたが、ほどなくトイレ休憩までまだ1時間近くあるのに本格的に便意を感じてきたのです。

高速道路にのってしまえばSAなどがあるので最悪バスを止めることはできるのですが、どうしても目立つため、行けるところまで我慢しようと思い、目をつぶってひたすら我慢を続けました。

しばらくするとお腹はあんなに痛いはずなのに、だんだん眠くなってきて、起きてるのか寝ているのか分からない状態になりました。

次に気づいたらトイレ休憩のSAが目前だったので最後の力を振り絞って耐えきりました。

到着するとお客さんを押しのけてトイレに駆け込むことになりましたが、精神と身体に起きた色々なできごとでどっと疲れました。

まさに人生最大の危機だったと思います。