雨の中、アルバイトへ行く途中に出会った女子高校生

雨の中で

もう、40年以上前になるでしょうか。

大学生のとき、家庭教師のアルバイトをしていました。

週に2回、1時間ほどで月に2万円程度だったと思います。

交通費込みになります。

家庭教師先まではバスで15分、バス停から歩いて5分程度だったと思います。

その時は冬場で天候もあまりよくなく、バスに乗っているときから雨が降り出しました。

しとしと雨といった感じです。

雨の天気予報だったので、傘はアパートから持って出ていました。

バス停を降り傘をさして歩き出すと、前方に傘をささずに濡れながら女子高校生が歩いていました。

今のご時勢だったら、不審者と疑われるのを避けて何もしなかったと思いますが、そのときは、傘を差しだして、並んで歩き始めました。

何も会話はありませんでした。

直線の道を歩いていき、自分の目的地へは左折しなければならない状況になったので、「ここまでですが」と声を掛けました。

その子はうなずいて、カバンの中から何かを取り出して手渡ししてくれました。

見ると、一粒のチョコレート。

自分には縁のなかったバレンタインチョコを頂けました。